風呂場がクローゼットに!?社会福祉士に聞いた、もっとも壮絶だった「ゴミ屋敷」の現場とは?

  • 今回お話を伺った社会福祉士のNさん

介護職員やデイサービス相談員・居宅介護支援事業所のケアマネジャーを計10年ほど経験し、社会福祉士の国家資格取得後はソーシャルワーカーとして働いている。

みなさんは、「社会福祉士」という職業をご存知ですか?

社会福祉士は、日常生活に困難を抱える人々の相談に応じ、問題解決をサポートする福祉制度の専門家です。
具体的には、高齢者、障害者、児童など、さまざまな人々に対して福祉サービスの提供やアドバイスを行います。

今回は、そんな社会福祉士のNさんにお話を伺い、これまで支援を行なった中でもっとも印象に残った利用者さんのエピソードを振り返ってもらいました。

部屋の問題はマンションのドアを開けるまで気付けない

※この記事では、人物の特定を避けるためイメージ画像を使用しています。

――まずは、どのような経緯からゴミ屋敷の現場にたどり着いたのでしょうか?

社会福祉士は「ソーシャルワーカー」とも呼ばれていて、障害や貧困などの理由から日常生活そのものを送ることが難しい状況にある人のサポートをする仕事です。
自分の場合は、介護が必要な高齢者を支援する事業所に所属していて、地域の「包括支援センター」という場所のケースワーカーから相談を受けたのがはじまりでした。
(※地域包括支援センター=地域住民の福祉相談に応じ、必要なサービスを紹介・調整する機関)

――それが、ゴミ屋敷のお片付け支援にまつわる相談ということですか?

実は、お片付けへのサポートは結果論であって、ゴミ屋敷問題が発覚したのはずいぶん後になってからのことだったんです。
最初の相談自体を簡単にまとめると、リハビリが必要な80代手前の女性(以降、Aさん)に対してどのような福祉サポートを受けてもらえば良いのかという内容でした。そこで、「支援計画」というものを作成するためにその方の現在の生活環境を把握する必要があったのですが、なかなか自宅を見せてくれないんです。
(※支援計画=個別のケースごとに必要な支援を提案し、必要であれば行政や医療機関と連携するための計画)

――たしかに、いわゆる「汚部屋」で暮らしている方はそれを隠す傾向が強いですよね。

マンションの8階にお一人で住んでいたのですが、ケースワーカーさんと一緒にエントランスまで伺っても、手前で追い返されてしまう日々が続きました。
仕方なく、最初は通所のリハビリのみを受けてもらうことになったんですが、ある日、Aさんが自宅で転倒して怪我をしてしまったんです。それでいよいよ「自宅での生活は困難である」と判断して、介護施設に入居してもらうことになりました。それに伴って自宅を引き払う必要があり、そこで初めてAさんが「ゴミ屋敷」で暮らしていたことがわかったんです。

(ゴミ屋敷や高齢者のお片付けの説得法については、こちらの記事も参考にしてみてくださいね!※近日公開予定)

高齢者への違和感は原因が特定しにくい

――Nさんとしては、Aさんがゴミ屋敷に住んでいるという予兆は感じていたのでしょうか?

やはり特有のニオイなどから、違和感は薄々感じていました。いくら確認しても、本人は「お風呂に入っている」と言い張るんです。ですが、高齢者が生活上の困難を抱える原因は様々です。
たとえば、認知症などの影響からお風呂に入っていないこと自体を忘れているかもしれないし、身体が動かしにくくなって入浴できないことをプライドから「恥ずかしい」と感じて隠す方もいらっしゃいます。

――なるほど。実際に、Aさんはお風呂に入れていない状態だったのでしょうか…?

相当な期間、入浴はできていなかったと思います。というのも、お風呂がクローゼット代わりになっていたんです。

――えっ!?どういうことでしょうか?

浴槽の中に、大量の洋服が詰め込まれていたんです。さすがに何年も身体を洗えなていない状態ではなかったようですが、なんとかシャワーだけでも浴びていたのか、銭湯などを活用していたのかはわかりません。

「その人らしい暮らし」を取り戻すためのお片付け

――その他にも、お部屋の中で印象に残った部分はありますか?

最初に見た時は呆気に取られてしまうくらい、床から天井まで物が積み上がっている状態でした。ニオイや虫なども含めて、まさに想像通りの「ゴミ屋敷」というイメージです。
ですが、意外だったのは本人の趣味がわかりやすいものが多かったことです。洋服などやインテリアなどもカラフルだったり花柄の物が多く、本来は可愛らしい物や暮らしがお好きな方だったんだろうなと。

――ゴミ屋敷に住んでいる人にとって、それが「ゴミじゃない」というのはよく聞く話ですよね。自分の好みやこだわりが強いからこそ、なかなか集めた物を捨てられないケースも多いです。

そうですね。好きな物を大切にできるその人らしい本来の暮らしを取り戻すためのお手伝いも自分たちにできる役割なのかなと思います。
ただ、ぎょっとしてしまったのは、謎の人形や置物が大量に置いてあったことです。また、大量のゴミの中に遺影(おそらくAさんのご両親のもの)を見つけてしまったときも、正直に言うと本当に怖かったです…(笑)。

実家売却のインタビューをしたKさん親子も、大量の変な置物を捨てるのに苦労したとお話しされていましたよね。実家整理あるあるなのでしょうか…!?

広報スタッフ

次回のインタビュー記事では、引き続き専門家であるNさんに汚部屋での介護への影響について詳しく伺っていきます!

お見積り訪問は無料!
まずは、お気軽にお問い合わせください

お電話でお問い合わせ
メールでお問い合わせ

この記事を書いた人

広報担当スタッフ

このサイトの作成やブログ記事の編集を担当している、広報スタッフです!
地方出身者の私にとっても、「実家整理」は身近な問題です。ご家族の思い出が詰まった品々の整理を通して、新たなスタートを切るお手伝いができるように日々工夫と精進を重ねていきます!